■清水と異なる試合スタイル
77分の交代の光景そのものも、1人と3人、センターバックとアタッカー、と対照的なものだったが、アタッカーを入れ替えた72分の清水の交代と比べてもそうだった。
ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督は72分、カルリーニョス・ジュニオとチアゴ・サンタナを下げて中山克広と鈴木唯人を投入。マリノスにボールを支配されている中で、彼らにはサイドに流れながら単独で活路を見出していくことが期待された。試合状況に合わせてリスクマネジメントを考慮しつつ突破口を見つける位置を変化させようとした清水と、相手に関係なく自分たち本来のやり方を貫き通したマリノス。
これはどちらがベターかということではなく、両監督の性質の違いによるものだ。
ただし、マリノスが最終盤でもいつも通りに振る舞えるのはなぜか、ということをこの交代後のプレーから読み取ることはできる。
それまでとは狙いを変えて打開を図った清水だったが、畠中槙之輔を筆頭にマリノス守備陣が個の部分でしっかりと対応してみせたことで、プランBは失敗に終わった。
良い攻撃は良い守備から、ということはよく言われるが、これもまさにそういうことだ。
変化してきた相手にも、個でしっかり対応できる守備陣がいるからこそ、マリノスは最後の最後で焦らずに結果を手にすることができた。