遠藤保仁、41歳。彼の“名人芸”を今のうちに見ておいた方がいい。彼がピッチのどこかでのらりくらりしていたら、それは絶対的なチャンスメイク(対戦相手からすれば大ピンチ)の前兆だ。Jリーグのデータによると、1試合平均敵陣パス数の43.6はリーグ1位。彼の作り出すタメによって、攻撃は一気呵成に加速する。今シーズンはJ2で第15節までの7試合に先発出場している。イニエスタ? J2のジュビロ磐田には遠藤ヤットがいる――。
■「遊び」が大切
一つの戦術がうまく行かない場合にやり方を変えるためには、大きくサイドチェンジをしたり、最終ラインまでボールを戻す方法もあるが、それでは時間がかかってしまうし、すべてを最初からやり直さなければならない。だが、一瞬の「間」を作ることによって調整できるのであれば、ボールは相手ゴールに近い位置から攻撃をはじめることができるなど、はるかに効率的ということになる。
そうした意味を含めて考えれば、家長がボールをキープしたり、遠藤が単純なパス交換をしたりするプレーは「タメ」や「間」を作るプレーであると同時に、広い意味での「遊び」なのである。「遊び」という言葉を使うことによって、そのプレーの意味をさらに広い意味でとらえることができるだろう。
ちなみに、そうした工学的な意味での「遊び」のことを、英語でも「プレイ」という単語で表すことがあるそうである。