3分、小林悠の早い先制ヘッダーで試合はもう終わってしまったと思った。
だが、それから先、川崎は追加点を奪えない。車屋紳太郎、谷口彰悟、山根視来がボールを左右に移動させるが、攻撃のタイミングを見い出せない感じだ。
ピッチには仙台のGKヤクブ・スウォビィクの「カマン・ガイズ。シュウチュウ!」という声が大きく響いていた。
74分、川崎は仙台の中原彰吾に同点ゴールを許してしまう。1-1。
ここから、試合の温度は変わった。コンタクトは激しくなり、試合は熱を帯びた。
川崎の鬼木達監督は温存していたレアンドロ・ダミアンを投入、83分には登里亨平のタテ・パスにオフサイド・ラインぎりぎりで抜け出た三笘薫がドリブルから左足でゴール右隅を決めた。きれいなゴールだったが、私は判官びいきのようなため息を自分の中に感じていた。
川崎はジェジエウまで出して、勝利を掴もうとした。
だが、仙台のマルティノスの登場が劇的な結末を呼ぶ。
ロスタイムの表示は5分。
ペナルティ・エリア手前からマルティノスは左足を振り切った。それは3人のディフェンダーのすき間をぬってゴール右隅に入っていった。