■「連動」という言葉とは無縁だったレアル
その2択であれば、チェルシーは内側のルカ・モドリッチやトニ・クロースに出させなければ問題ない。ボールはラモスやティボー・クルトワまで戻ることになり、それを解消するためにクロースが最終ラインに落ちてボールを触っても状況は変わらなかった。
モドリッチやカリム・ベンゼマにボールが入らず、連動という言葉とは無縁になってしまったレアルはボールを止まって受けた状態から無理をしてロストし、簡単にカウンターを受ける悪循環に陥ってしまう。
ただし、28分に先制を許したレアルだが、この1点は痛恨の失点ではなかった。マドリードでの試合を1-1で終えているからだ。失点しようがしなかろうが、1点を取らなければならない、という部分は変わらない。修正のチャンスは存分にあった。
しかし、後半に入っても3バックを継続したレアルは、やはり再三チェルシーのカウンターの餌食になってしまう。クルトワのセーブによってなんとか持ち堪えていたものの、攻守に改善がないことで勝ち抜けの可能性は見えてこなかった。
63分にフェデリコ・バルベルデとマルコ・アセンシオを投入し、ようやく4バックへと回帰したレアルだったが、残り時間が少なくなっていく中で縦に急ぐようになるとシステムに関係なくチェルシーのカウンターが怖さを増した。
そして76分にカゼミーロを下げて、イレギュラーな状態になったレアルは、とうとう85分、ヌゴロ・カンテに高い位置でボールを奪われると、ボールはクリスティアン・プリシッチ、メイソン・マウントと繋がり勝負を決定づけられた。
レアルは最後まで何がやりたいのかを表現することができず、90分を通してチェルシーの掌の上で踊らされた。自滅かつ正真正銘の完敗だった。
■試合結果
チェルシー 2―0 レアル・マドリード
(2戦合計3-1でチェルシーが決勝進出)
■得点
28分 ティモ・ヴェルナー(チェルシー)
85分 メイソン・マウント(チェルシー)