■「次、取り返すチャンスがある」
デメリットでいうと、攻撃での迫力が必ずしも増したわけではないことだ。点数を返さなければいけない以上、いつも以上に前に出る必要がある。そこで前でボールを受けて反撃に転じようとしても、川崎は川崎で当然、縦と中を切る。ボールを持った選手は一度、後ろに下げようとする。その際、味方から「下げるな!」と声が掛かった。しかし、サポートや崩しのメカニズムはない。声を受けた選手は、ボールを下げても得点が奪えないことは分かってはいるが、下げる選択肢しかない。「下げるな!」という声は、むなしく響くだけだった。
名古屋の攻撃が最も鋭利さを帯びるのはカウンターの場面だ。そうでなくても、前線の個人能力に優れた選手のひらめきや技術で相手守備をこじ開けることもある。しかし、相手は川崎だ。“最強の矛”である攻撃的なチームだが、13試合で8失点と堅守も兼ね備えている。そう簡単に崩せるわけではない。この試合でも、川崎もマテウスや相馬勇紀のドリブルを封じてきた。いつもと違うシステムにしたからといって、急に崩しのパターンが増えるわけではないのだ。
川崎の名古屋対策によって0-4という大敗を喫してしまい、勝ち点差は6に開いてしまった。しかし、柿谷曜一朗が試合後に「今回負けたからといって何か崩れるわけではない。次、取り返すチャンスがある」と話したように、中4日で早くも再戦のチャンスが訪れる。問題は、次戦でいかに川崎から白星を奪うかだ。