■モドリッチが一人だけで試合を成立させる
アルバロ・オドリオソラが受け手としても出し手としても守備としても機能しないことや、マルコ・アセンシオがスペースのない中では仕事をすることができないこともあり、イスコがボールを出せずにペースダウンをしてしまう。こうなるとロドリゴとヴィニシウスが積極的に仕掛けることができる場面はますます生まれなくなった。
結果として、ただでさえカゼミーロの不在を補わなければならないルカ・モドリッチがますますとばっちりを受けて、1人で試合を成立させなければならなくなってしまった。
そんなレアルを相手にヘタフェは自分たちの時間を過ごすことに成功した。
それはまるで、夏のアジアツアーで日本や韓国、タイなどのチームがヨーロッパのビッグクラブ相手に本気で勝ちに行く姿を想起させるものだったが、これはプレシーズンマッチではなく公式戦。当たって砕けろ、で自分たちの力を試す場ではなく、ホセ・ボルダラス監督にとっては勝つチャンスである以上に引き分けるチャンスだった。
ティボー・クルトワの好セーブでゴールが奪えない中で1点を奪い取って大金星を挙げるべく攻撃の圧をかけるのではなく、あくまでも負けないことを重視し、疲れのあるポジションを素直に交代させるのみ。レアルと引き分けるチャンスをボルダラス監督が捨てるわけがなく、久保建英の出番は当然訪れなかった。
そして、試合は両者が望んだスコアレスドローで幕を閉じた。