■「同じメンバーを信頼しすぎている」

 マドリーは今夏、レアル・ソシエダからウーデゴールをレンタルバックで復帰させた。ソシエダとマドリーのレンタルの契約期間は2022年夏までだった。それを短縮して”神童”を戻したのである。一方、ヨヴィッチに関してはジダン監督自身が獲得を要望したと認めている選手だ。マドリーはヨヴィッチ獲得に際して移籍金6000万ユーロ(約72億円)を支払っている。決して、安い移籍金ではない。

 だがジダン監督はウーデゴールとヨヴィッチを重宝しなかった。中盤ではカゼミーロルカ・モドリッチトニ・クロースが、前線ではカリム・ベンゼマが起用され続けた。

 本稿執筆時点でカゼミーロ(公式戦37試合出場/出場時間3976分)、モドリッチ(40試合/3038分)、クロース(39試合/2923分)、ベンゼマ(36試合/3078分)という数字を残しており、それは指揮官の信頼を雄弁に物語っている。

 結果的に、今冬の移籍市場でウーデゴールはアーセナルへと、ヨヴィッチはフランクフルトへとレンタルで移籍した。ジダン監督はヨヴィッチについて「私に責任があると言うのは簡単だ。(トッテナムに所属するセルヒオ・)レギロンの移籍の時も、私に責任があると言われた。ヨヴィッチのように若い選手を獲得するというのは、素晴らしい選択肢だった」と語り、ウーデゴールに関しては「試合に出たいと移籍を求めていた。彼とは2、3回話したよ。選手が違う場所でチャンスを得たいと考えた時、できることは少ない。私は彼に残って欲しいと伝えた。平静を保ち、戦わなければいけないと。(ウーデゴールのレンタルバックは)私の要望だった。シーズンは長く、彼が必要になると思っていた。だが最終的には全員で決断した」と話している。

 ジダンは同じメンバーを信頼し過ぎている。そういった批判がメディアから巻き起こっても、仕方がなかった。

(後編に続く)

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