■「ジーコは試合運びが巧みだった」 

―2003年4月の日韓戦ですね?

後藤「あのよく分かんなくて入っちゃったやつね」

大住「そうそう、試合には負けて勝負には勝った」

後藤「あの時は、僕はヨーロッパにいたのでライブでは見てないんですが、あの永井のシュートは本人だってシュートなんて撃つ気はないのに、たまたま入っちゃった。サッカーなんて本当にいい加減なもんですよ」

大住「さすがジーコって感じだよね」

後藤「たしかにジーコのチームは勝負強かった」

大久保嘉人が退場になった日韓戦もありました。

後藤「前半にあっという間に退場になったやつね。2013年12月の東アジア選手権」

(※2013年12月10日、横浜国際競技場で行われた一戦。15分、18分と続けて警告を受けたFW大久保嘉人が退場。結果は0対0のドロー)

大住「たしか十数分で退場になったんだよね。イエローカード2枚目で」 

―なにをしているんだ、と思った人も多いでしょうが。

後藤「本領を発揮しただけですよ」

大住「ははは。 けどあの時、韓国は引き分けで優勝だったんだよね。だからどうしても日本は勝たなくちゃいけなかった。たしか第1回目の東アジア選手権だったよね」

後藤「あの時のジーコは、すごく手際の良い交代をして、うまく攻撃をつないでた」

大住「それでハーフタイムの時に、ひとりが120%走れ、って言って。10人で頑張って、なかなか良い試合になったんだよね」

後藤「ジーコはチーム作りは上手くなかったけど、ああいう修羅場の時の選手交代とかは、本当に上手かった」

大住「魂の入れ方がすごいよね」

後藤「そこがトルシエとの違いで。トルシエはチーム作りはすごく上手いんだけど、選手交代の時とかは固まっちゃうんだよね。そういう面でジーコっていうのは大したもんですよ」

大住「わざわざトルシエの悪口を言わなくても……」

後藤「だってトルシエ自身が、『俺はチーム作りは自信あるけど選手交代は苦手だ』って言っていたんだから。でもこの間の、ベトナムの試合を見ていると(※2019年、AFC U-19選手権の1次予選)、ずいぶん采配も上手くなってたよ。歳を取って落ち着いたのもあるけど、自信みたいなのがみなぎっていた。成長していたよ」」

大住「そりゃ変わるよ、あの生き方じゃあ50まで生きられなかったかもしれないのに」

―日本代表の歴史を感じますね。

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