■仕事を果たした交代選手
後半も試合の構図は変わらない。だからこそ、マウリシオ・ポチェッティーノ監督の采配が輝いた。
幅を使ったバルサの攻撃で危険性を放っていたのが、PSGから見て左サイドにいたセルジーニョ・デストだった。23分にはサイドからゴールに迫って強烈にポストを叩く一撃を放っていたウィングバックに、ポチェッティーノ監督はふたをした。
投入したのは、CBが本職のアブドゥ・ディアロだった。先発したレイバン・クルザワが警告を受けていたことも影響したかもしれないが、後半開始から左サイドバックに入ったこの24歳は、ほぼ完璧な仕事をしてデストを封じ込めた。
バルサが逆サイドでボールを持つ時には、味方CBとデストの間で絶妙な距離感を保ち、ボールを入れさせなかった。マークの受け渡しの見極めも絶妙だった。ボール奪取技術は、メッシを相手にも証明。49分には、メッシがパスを受けた瞬間にボールとの間に体を入れ、攻撃の芽を摘んでいた。
時間とともにディアロの反対側、つまり右サイドを崩される場面が増え、危険なボールを入れられる場面もあった。だが、中央およびファーサイドはディアロが完璧に監視。危険度よりも安定感が勝っていた。
77分に一度だけ、ディアロが縦突破を許したシーンがあった。だが、これが最初で最後のピンチとなる。PSGのサイドでふたをさらに厚くしたのが、アンヘル・ディ・マリアである。
59分に投入されたディ・マリアは、そのドリブルをキープ力としてチームの力に変えていた。敵陣で受けてカウンターに移れる場面でも、逃げるドリブルで自陣に戻り、攻め急がない場面があった。その後半半ば過ぎから、PSGはプレースピードを極端に落とし、試合の針を進めていく。大量ゴールが必要なバルセロナの首を、じわじわと真綿で締めていったのだ。