■3点目は取らせなかった
後半になると、ようやく徳島はらしさを見せた。ラインを高く保ち、岩尾憲を中心にボールが動くようになった。藤田や岸本武流がフィジカルでも引かず、藤原志龍や渡井理己がドリブルを織り交ぜて前へと進んだ。決定機こそなかなか作らせてもらえなかったが、たしかに徳島のサッカーが展開されていた。それぞれがJ1で通用することとしないことを確かめるようにアグレッシブにプレーし、ダミアンに「今日のゲームはすごく難しいゲームになった。相手も積み上げてきたものがあり、今日のゲームに打ち出してきた」と言わしめた。
川崎が2点をリードしたことで、落ち着いて試合をコントロールする方向にシフトしていたことも自分たちの色を出せた要因ではあるが、ハーフタイムの鬼木達監督のオーダーは「やるべきことは3点目を取ること」だった。勇敢に戦いを挑んだ結果、ゴールは奪えなかったが、3点目を取らせなかったことは大きい。
2-0で敗れた徳島だが、この後半45分間は勝敗よりも貴重な時間になった。これまでやってきたことをしっかりとぶつければJ1でも十分戦える、自分たちのやっていることは決して間違っていない。その自信を手にして等々力を去ることになった。
こうなると、前半も貴重な経験になった。それを90分間出すことが欠かせないことを学んだことになる。
指揮を執る甲本偉嗣ヘッドコーチは失点について「蹴るのは簡単ですが、僕らはそこをしっかりとつなぐことを要求している。その中でのミスなので、仕方がない」と語り、あくまでもこれまでのスタイルを保ってJ1を戦っていくことを明確にした。
この試合によって、勇敢なチャレンジャーとして徳島のJ1での戦いが続くことになる。
■試合結果
川崎フロンターレ 2―0 徳島ヴォルティス
■得点
12分 レアンドロ・ダミアン(川崎フロンターレ)
42分 レアンドロ・ダミアン(川崎フロンターレ)