川崎を超えるのは川崎(3)橘田、遠野、塚川の新戦力融合でACLも狙うの画像
遠野大弥(川崎フロンターレ) 撮影:中地拓也

※第2回はこちらから

2021年、J1リーグの優勝候補から川崎フロンターレを外した予想が多く見られた。しかし、それをどこ吹く風と川崎は開幕から3連勝してみせた。本稿では川崎の弱点、今季、多くの人たちが懸念するACL参戦による過密日程がどう影響するのかを含め検討し、川崎の強さの理由を明らかにする。

■照準はクラブワールドカップでの活躍に

 今シーズン、川崎以外の優勝を予想する人たちの最大の根拠は「ACLの負担」である。

 昨年、あれだけの大差をつけて川崎が優勝した背景には、新型コロナウイルス感染症の影響によって再開後のJリーグが超過密日程となり、それが「人よりボールを動かす」というスタイルの川崎にとって有利に働いたからだった。そして、特別ルールとして採用された「5人交代制」を最も有効に使ったのも、選手層が厚い川崎だった。

 だが、2021年シーズンは試合数が38試合に増えるものの、昨年に比べれば通常に近い日程で行われる。従って、川崎のアドバンテージは昨年ほどは大きくない。

 これまでの川崎は、ACLに出場しても早い段階で敗退することが多く、ACLの負担を最小限に抑えて連覇も果たしていた。

 だが、せっかく日本にこれだけ素晴らしいチームがあるのだ。ぜひACLという舞台でアジア各国のクラブを圧倒してほしいし、そこで優勝してクラブワールドカップで世界のトップを相手に川崎のパス・サッカーがどこまで通用するかを試してみてほしい。

 しかし、そうなると、たしかにJリーグと並行して戦うことの負担が増えてくる。

 だが、川崎の選手層の厚さを考えれば、2つの大会を並行して戦うことは十分に可能だ。

 川崎は、第2節のベガルタ仙台戦では先発メンバーを6人変更して戦って5対1で大勝した。ターンオーバーしながら、戦うことは可能なのだ。

 仙台戦のメンバーを見ると、ターンオーバーで変更となったのはセンターバックの2人と前線の3人。そして、MFの脇坂だった。つまり、ジョアン・シミッチ田中碧はそのまま先発で起用され、シミッチは前半だけでお役御免となったが、田中は終盤までプレーした。

 川崎は、今シーズンは開幕からMFでも新しい選手を毎試合のように起用している。MFの橘田健人遠野大弥、塚川孝輝の3人だ。この3人が、早いうちにチームにフィットして、MFも含めて全面的にターンオーバーができるようになれば、ACLの負担にも耐えることができるだろう。

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