【プレミア分析】チェルシー対マンチェスター・ユナイテッド「超緊密マッチで蘇る“中盤の巨人”」の画像
マンチェスター・Uのフレッジとボールを競り合うエヌゴロ・カンテ(チェルシー) 写真:ロイター/アフロ

【イングリッシュ・プレミアリーグ チェルシーvsマンチェスター・ユナイテッド 2021年2月28日(日本時間25:30キックオフ)】


 青対赤のビッグマッチはスコアレスドローに終わったが、速いテンポでのペースの握り合いを90分続けた試合は緊張感が絶えない好ゲームだった。

 ボールを保持するサッカーを見せるチェルシーとカウンターで怖さを見せるユナイテッド、というそれぞれのベースは、それだけで互いの歯車が噛み合う好ゲームになる可能性を高めていたが、この試合を素晴らしいものにした最大のポイントは序盤のチェルシーの守備だった。
 
 カウンターは強力な武器ではあるものの、今シーズンのユナイテッドはビルドアップの質を高めることで自分たちの試合を作ってきた。この試合でも自陣から組み立てていこうとしたユナイテッドだったが、トーマス・トゥヘル監督はしっかりと対策を立ててきた。

 ユナイテッドの好調を支えているのは左サイドバックのルーク・ショーだ。安易にボールを失わない安定性と、いてほしい時にいてほしい所に顔を出すラン、そしてクロス。流れの中でのプレーの質の高さは今シーズンのプレミアリーグでナンバーワンだ。

 チェルシーはその左サイドを使わせないように、ユナイテッドのビルドアップを右サイドに誘導していた。オリビエ・ジルーが左センターバックのハリー・マグワイアから右センターバックのヴィクトル・リンデロフの順にプレスをかけてボールの動く方向を決めた。右サイドバックのアーロン・ワン=ビサカは1vs1での守備ではプレミアリーグトップの選手だが、ビルドアップではスペシャルな選手ではなくなる。ワン=ビサカにボールが渡ると、メイソン・マウントが猛然とプレスをかけ、縦に蹴るしかない状況を作った。ワン=ビサカは前にいるダニエル・ジェームズ目掛けて蹴り出すが、そのボールはベン・チルウェルに回収されることになった。

 ユナイテッドはそれを解消するためにスコット・マクトミネイやメイソン・グリーンウッドが右サイドのサポートに回ったり、マグワイアが縦に進んだり、と様々な方法を試すようになり、それが試合内容をバラエティに富んだものにした。

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