■京都で再結成された師弟関係
チームの勝利に貢献するために。自らのキャリアを輝かせるために。
新たな活躍の場を求めた選手がいる。『Jのミカタ特別編』の第2回では、今オフの移籍市場から注目の4選手をピックアップする。
昨季8位の京都サンガF.C.は、2010年を最後にJ1から遠ざかっている。12年と13年には大木武監督のもとで3位となり、昇格プレーオフに進出したがJ1には到達できなかった。16年には石丸清隆監督(現モンテディオ山形監督)のもとで5位となったが、ここでも昇格プレーオフで涙をのんだ。
その後は上位に食い込むことができていない。19年、20年と2年連続で8位に終わった。
昇格候補とするにはいまひとつ決め手に欠けていた昨年までとは異なり、今季は期待値が高い。
チョウ・キジェ監督が就任したからだ。
チョウ監督は12年から19年途中まで湘南ベルマーレを指揮し、3度のJ1昇格を成し遂げた。18年には湘南ベルマーレとして初のタイトルとなるルヴァンカップをもたらしている。攻守が一体化したアグレッシブなサッカーは“湘南スタイル”と呼ばれ、遠藤航(現シュトゥットガルト)や永木亮太(鹿島アントラーズ)らの優秀なタレントを育みながら、他クラブでくすぶっていた選手や無印の存在も成長させていった。
そのなかのひとりが、武富孝介である。
09年にスタートしたキャリアで、このアタッカーは13年と14年、それに19年シーズンの半分を湘南で、チョウ監督のもとで過ごしている。攻撃の複数ポジションをこなす万能型の30歳は、恩師との3度目のめぐり逢いを果たし、新天地京都に新たなスタイルを浸透させていく役割を担う。
沖縄キャンプ中の2月7日には、FC東京との練習試合で2ゴールを記録した。チョウ監督の戦術をピッチ上に描き出す30歳は、10年以来のJ1昇格を目ざす京都に欠かせない存在となっていくことだろう。