チャカリタの試合の時の話に戻ります。

 隣にいるアナウンサーとは試合前に雑談をしていましたから、彼は僕が多少はスペイン語を話すことを知っていました。それで、停電になって話題に詰まって困ったアナウンサーは、突然ぼくにマイクを向けてきたんです。

 まず、通り一遍の試合の感想から。

 スペイン語は一応理解できますけどまったく流暢ではありません。シドロモドロになりながら、なんとか意見を伝えました。それで許してくれるかと思ったら、まだ続きがありました。

「日本でも、照明が消えたりすることあるん?」というので、Jリーグ開幕の時の万博競技場での出来事を思い出して「日本でも、そんなことがあるんだ!」と言って盛り上がりました。

■数日前にはパラグアイでもサプライズ出演

 さらに、1999年といえば4月にナイジェリアでワールドユース選手権(現U-20ワールドカップ)があって日本が準優勝した年ですが、日本対イングランド戦の時にバウチのスタジアムで照明が半分消えてしまって、レフェリーがそのまま試合を続行させたという話をしました。「で、ずる賢い日本はそれを利用してFKを決めて勝っちゃったんだゼ」と言うと、あちらは大喜びです。何しろ、大嫌いなイングランドがひどい目にあった話ですから。

 さらに、アナウンサーはいろいろな話題を振ってきます。

「アルゼンチンは何度目? 最初に来たのは何年のこと?」

「今回で4度目やね。最初は1978のムンディアル(ワールドカップ)でっせ」と僕。

 すると、そのアナウンサーは「当時のブエノスアイレスと現在(1999年)と、かなり変わってる?」と質問してきます。

 こうして、話題はアルゼンチンの社会や政治に飛んでいきました。サッカー用語ならそれなりに分かるんですが、政治や経済の話題はかなりキツかったですねぇ。

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