結果を出せなかったことで出番を失ったのならば、結果を出して奪い返すしかない。
それは先発として結果を出すより難しいことだが、チャンスは十分に与えられた。シーズン途中で加入し、そのシーズン限りでいなくなることが既定路線の選手に対し、チームのやり方を変えて5試合を消費した。周りのレベルが低くても、それは言い訳にならない。ボルダラス監督は2人に対して、できる限りのことをしてきた。残留争いから抜け出せない以上、周りを変えることは不可能なのだから、元に戻す決断をするしかなかった。
しかし終わりではない。最初が肝心、というのはこういう場合でも同じだ。控えに回された試合で結果を出し、やはりあの選手に賭けてみるべきだ、と思わせれば即先発に戻ることができる。時間が経てば経つほど、何もしないうちに序列はどんどん下がる。
そういう状況になったこの試合、ヘタフェでの立場を回復するためにも、レアルに戻る価値のある選手だということを示すためにも、限られた時間であろうと何としてでも結果にこだわってプレーしなければならなかった。
54分、久保の出番がやってきた。
0-0の状況からアレニャ、ハイメ・マタと同時に投入されたことは、レアル相手に勝ちにいくから点を取ってこい、という明確なメッセージだ。
60分にはカリム・ベンゼマに先制ゴールを許した。右サイドからのシンプルなクロスをあっさりと決められ、ヘタフェの守備の弱さがまたしても露呈した形だったが、これで久保の個人的な意味合いだけでなく、1試合の中でチームに勝ち点をもたらすためにも結果が必要になった。