しかし、結果は出せなかった。結果はおろか、輝くこともできなかった。

 屈辱的な場面もあった。87分、左サイドでボールを受けて1vs1を仕掛けたが、ヴィニシウスに簡単に止められてしまった。それだけでなく、91分には逆にヴィニシウスに1vs1で敗れた。
こうして生まれる、スペシャルな選手ではなかった、という評価は、時間を遡ってまでさらなる低評価に繋がってしまう。

 もう一つ、66分、レアルに2点目が入った場面だ。フェルラン・メンディが一気に攻め上がり、マルセロのクロスに飛び込んでゴールを奪った。このゴールは、メンディがドリブルで攻撃のスイッチを入れた場面から始まったが、そこで最初に捕まえきれなかった選手が久保だった。

 プレー自体は問題なかった。寄せるタイミングも、寄せ方も、ちゃんとしたものだった。メンディが素晴らしかっただけで、ヘタフェの誰であっても止めることはできないものだったが、今のような状況に陥るとそういう場合でも悪く見られてしまう。試合再開直後に体を張ってメンディにイエローカードを与えたが、そんなものは何の意味も持たない。ゴールもアシストもなく敗れた以上、残るのは、ファーストディフェンダーとしてメンディを止めることができなかった、という事実のみだ。

 もう、中身も過程も状況も見てくれない。事実のみ、結果のみでしか判断されないのだ。評価が下がり始めたら、当たり前のことや仕方のないことであってもさらに下がる材料となり、誰の目にも明らかな結果でしか回復できなくなる。

 全ては、結果を出せていないからだ。結果を出せば全てが変わる。

 この試合が終わった時点で久保に下されてしまうのは、0-0から出てきてチームを勝たせられなかっただけでなく負けさせた選手、という評価だ。

 久保はこの状況を打破することができるだろうか。それとも、同情されていたビジャレアルでの出来事を、あれはウナイ・エメリ監督が正しかったのだ、と結論づけられてしまうのだろうか。

 チャンスはどんどん減っていく。


■試合結果

レアル・マドリード 2―0 ヘタフェ

■得点

60分 カリム・ベンゼマ(レアル・マドリード)
66分 フェルラン・メンディ(レアル・マドリード)

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