■FIFAとUEFAがやるべきこと
欧州と南米の王者が対戦する「トヨタカップ」は黙認してきたが、FIFAは、伝統的に「クラブのサッカーは地域連盟が管轄すべきもの」という態度をとってきた。もちろん、1904年にFIFAが結成されたとき、当初の目的のひとつだった「世界選手権」の構想はクラブによる大会を想定したものだった。しかし1930年に代表チームによるワールドカップをスタートさせ、それが軌道に乗ると、クラブの大会には無関心になった。
「欧州と南米以外のクラブにも世界レベルの戦いにチャレンジする機会を与え、世界中のプロサッカーを盛んにしたい」という構想は悪くない。しかしそれを欧州のビッグクラブの人気におんぶにだっこのような形で開催し、ワールドカップに次ぐ収益源にしようというのがFIFAの使命とは思えない。FIFAは「24クラブのFCWC計画」を廃棄し、現状の「6地域連盟チャンピオン+開催国代表」という形を継続すべきだ。
そしてUEFAは、UCLの肥大化、その結果としてのビッグクラブの「ひとり勝ち」状態に早急にストップをかける必要がある。1992年までの「欧州チャンピオンズカップ(UEFA加盟国の各国チャンピオンだけが参加)」に戻ることはできないだろうが、賞金(分配金)の構造を変えるなど、地域全体のサッカーを盛り上げる本来の仕組みへと舵を切るべきだ。
現在の世界のサッカーは、FIFAもUEFAも、誰もがテレビやスポンサーからはいってくる巨額の資金を追いかけることばかりに血眼になり、「サッカーでいかに世界をハッピーにできるか」という最も大事なことを忘れてしまっている。追いかけてつかんだカネは結局ビッグクラブに流れ、格差を拡大させ、ビッグクラブ以外のクラブ、サッカーがよって立つ基本である世界中のクラブを苦しめていることに、そろそろ気づかなければならない。