しかし、“チェルシー戦以後”にシステムを[4-2-3-1]に固定し、個々の役割をはっきりさせ、このウルヴス戦でも見せたシュート・パスを繋いでいくスタイルは、アルテタ監督が現役だった頃のヴェンゲルのサッカーに通じるものがある。38歳の若き指揮官は、選手時代に影響を受けたヴェンゲルのスタイルを基盤にしつつ、コーチ時代に薫陶を受けたペップのエッセンスを混ぜ合わせようとしているのだろうか。
いずれにせよ、アルテタ監督のサッカーはまだまだ発展途上の段階にあるようだ。後半に入ると、アーセナルから前半の輝きは失われてしまった。10人になってなお血気盛んなガナーズの選手たちの士気を打ち砕くかのように、49分、ジョアン・モウティーニョにスーパーミドルを決められ、逆転を許してしまう。その後は勢い付いたウルヴスを攻めあぐね、72分にはペナルティエリア外で手を使ったGKベルント・レノが一発退場。9人になったガナーズの選手たちは、[4-4]のブロックで守るのが精いっぱいだった。そのままウォルバーハンプトンに1対2で敗れ、無敗記録は7でストップした。
この敗戦はアルテタ監督に何か“変更”をもたらすだろうか。もちろん負けたのは、不運が重なっただけで、スタイルの方向性の問題ではないとも言える。
だが、ウルヴス戦の「ターニングポイント」をきっかけに、スペイン人指揮官の中でヴェンゲルとペップの割合が調整される可能性はある。