久保建英「ヘタフェ移籍」は成功か、失敗か(2)「メッシがヘタフェに来たとして…」の画像
久保建英(ヘタフェ) 写真:Pressinphoto/アフロ
※第1回はこちらより

彷徨える久保の居場所はどこに? ビジャレアルからヘタフェに移籍して、途中出場だった初戦こそチームの2ゴールに絡んだものの、その後は3試合に先発するも、持ち味を発揮できていない。この移籍は成功だったのか、それとも失敗だったのか。——それを考えるには、まず、この移籍がなんのために行われたのかというところから始めよう。

■スタメン出場時に課せられる制約

 久保は、レンタル移籍でヘタフェに加わって最初の試合(1月11日、対エルチェ)ではベンチスタートだったが、64分に登場すると2ゴールに絡む活躍で勝利に貢献してみせた。だが、その後の、先発で出場した3試合では、次第に存在感が薄れていってしまった。

 久保にとってエルチェ戦は大雪の影響などで移籍後練習もできないままのぶっつけ本番だった。その分、「戦術的な要求」からは比較的自由な状態だったろうし、しかも1対1の同点の場面での途中出場だったので思い切って攻撃的なプレーができたのだろう。

 だが、その後は先発出場という立場だった。先発で出場する選手は、途中出場の選手と違って、ただ単に自分の思った通りのプレーをするのではなく、ゲームのリズムをつかむためにチーム戦術に合わせて規律を守ってプレーする必要がある。当然、戦術的な指示もかなり細かく与えられていたことだろう。

 このチームでは、サイドハーフの選手はサイドバックと協力してサイドで守備をしなければならない。アラベス戦でも、タッチラインに近いポジションでプレーしていた前半には、右ウィングバックのダミアン・スアレスと連携しながら、ライン沿いで守備に奔走している姿が何度か見られた。

 もちろん、相手チームも危険な存在である久保のことは意識している。当然、「久保を守備に走らせること」を狙ってくる。

 そんな数々の制約の中でプレーすることによって、久保は持ち味を発揮できなくなってきているのだろう。そして、アラベス戦は両チームともに守備意識が強く、中盤での激しいボールの奪い合いが主体のゲームとなってしまい、久保は居場所を失ってしまったのだ。

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