可変フォーメーションの特性上、フラボッタの場所は攻守の切り替えで後手を踏みやすい。スピードで勝るハキミと対面するフラボッタは、自身、あるいはその付近でボールを失えば、そのスピードで一気にゴールまでハキミの背中を追うことになる。中央で起点が作れず、左サイドは控え目、というこの状況では、キエーザはアタッカーとしてではなく、低い位置でボールを触ることから始めなければならなかった。

 こうして中盤が機能しなくなると、クリスティアーノ・ロナウドが下がってきてボールに絡もうとするようになった。機能不全に陥った場合、普段はパウロ・ディバラが下りてきて繋ぎ役になるが、ロナウドは繋ぎ役ではなく個人での打開を試みた。しかし、タッチライン際の低い位置でロナウドにドリブルを開始されても、5-3のブロックが出来上がっているインテルのディフェンスが慌てる必要はなかった。

 こうしてユべントスの攻撃を無力化したインテルは、攻撃でも優位に試合を運んだ。まずは、ルカクがジョルジョ・キエッリーニに張り付く。キエッリーニは左のセンターバックだ。左サイドバックとしてディフェンスをするフラボッタは、攻撃を控え目にしてハキミのケアに力を注いでいたが、キエッリーニがルカクにつきっきりになっていることで結局は広いスペースを1vs1で対応しなければならなかった。左サイドハーフとしてラムジーがセンターから移ってくるはずだが、ここでもバレッラの運動量にやられ、サイドバックのサポートまで戻ってくる余裕はなかった。

 1点目は、ハキミがフラボッタを1vs1で中央に引っ張り、大きく開いたサイドのスペースにバレッラが入ってクロスを上げた。ラムジーは途中までバレッラについていたが、切り込んできたハキミの相手をしようとしてマークを放した。

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