■2プレシーズンの有無(ユベントスの出遅れ)

 ユナイテッドを再び例にすると、2018-19シーズンが終わったのは5月12日で、7月13日にプレシーズンマッチが始まり、6試合を経て8月12日に2019-20シーズンの開幕を迎えた。閉幕から開幕までは3カ月で、オフが2カ月、プレシーズンが1カ月だ。これが今シーズン前はどう変わったかというと、リーグ戦が終わったのは7月26日で、さらにそこからヨーロッパリーグの集中開催を8月16日の準決勝まで戦っていた。そして9月20日にはリーグ戦がスタート。その間僅か1カ月しかなく、プレシーズンマッチは開催されなかった。
 これでは、チームに大きな変化をもたらすことや、新しい戦い方を完成させることは難しい。

 ユベントスが出遅れたのはこのためだ。アンドレア・ピルロ監督が就任し、新たな戦い方を見せているユベントスは、リーグ戦の6つの引き分けが物語っているように、ここまで勝ちきれない試合が多かった。可変システムを使う新戦術は、システム上どうしても発生してしまう問題点について実践での経験から擦り合わせていく必要があり、全てが噛み合うようになるまでに時間がかかった。

 リバプールと異なっているのは、完成しきったチームではなく新しいチーム作りだったため、リーグ戦を重ねていく中でもチームをどんどん変化をさせていくことに対して危機感を覚える必要が無いことだ。未完成の状態からスタートしたユベントスは、2戦目のローマ戦で早速問題に直面すると、そこから何かある度に積極的に修正を重ねて理想に近づいてきた。1月6日にはミランに初黒星をつけることに成功し、ピルロ監督のチームはいよいよ完成間近だ。順位表では4位(1月15日の時点で)だが、上がり目しかない状態になっており、タイトル獲得のチャンスは十分にある。

(2)に続く
 

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