欧州サッカー“大混沌”をもたらした3つの理由(1)リバプールとユベントスの停滞の画像
ズラタン・イブラヒモビッチ(ACミラン)写真:AFP/アフロ

 2021年1月、イングランドではマンチェスター・ユナイテッドが、イタリアではACミランが、それぞれ順位表の一番上の位置を占めた。この2チームがそろって首位にいるのは、2012年以来のことだという。
 スペインではアトレチコ・マドリードが2位のレアル・マドリードに10ポイント、3位のバルセロナに13ポイントもの差をつけようとしているし、(※1月16日時点。順位表上では4ポイントと7ポイントだが、アトレチコは消化試合が2つ少ない)ドイツではバイエルン・ミュンヘンが20年ぶりにポカールの2回戦で姿を消した。
 欧州で起きているこの“番狂わせ”の原因は何なのだろうか?
 イタリアとイングランドで、リバプールユベントスに起こったこと、そしてユナイテッドとミランの躍進に注目し、3つの視点から“動乱”の理由を探る。

 ■1過密日程(思うようにいかないリバプール) 

   新型コロナウイルスによる影響では、過密日程という話がよく挙がるが、例年に比べてどの程度の差があるのだろうか。

 ユナイテッドの日程を例にすると、2021年の1月は、1日のアストン・ヴィラ戦から始まり30日のアーセナル戦を終えるまで9試合を戦うことになっている。リーグカップ1試合、FAカップ2試合を含み、ミッドウィークに試合のない週は存在しない。これは確かに過密日程だ。

 では、ちょうど1年前、まだ世界中が現在のような大騒ぎになる前の2020年の1月はどうだったかというと、1日のアーセナル戦から29日のマンチェスター・シティ戦まで、リーグカップ2試合とFAカップ3試合を含む9試合だ。リーグ戦の数で見れば6試合と4試合で差があり、2020年はFAカップの引き分け再試合も1つ含んでいるが、結果的に消化した試合の数は同じだ。

 今度は、視野を広げてリーグ開幕戦から1月の最後の試合までを見てみよう。2019-20シーズンは平均試合間隔が中3.59日(8月12日~1月29日で38試合)、2020-21シーズンは中3.25日(9月20日~1月30日で32試合)となっている。差は0.34日。この約3分の1日の差を、ほぼ同じ、と捉えるか、あるいはその部分で怪我人が発生した場合の選手層の厚みが例年以上にポイントになっている、と捉えるかは判断が難しいところだ。どのチームのどの選手が怪我で離脱してしまうかは天のみぞ知るところで、明らかだと言えるのは、国内の3つのコンペティションに加えてCLやELを戦う現代のトップ選手は、毎年過密日程で戦っている、ということまでだ。

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