63分、さらに攻勢を強めたいインテルはロメロ・ルカクを投入。吉田が対応するわけではなかったが、ルカクの存在によってサンプドリアの全体の守備も吉田自身の守り方も難しくなった。ハイボールを競り合う役割はオマル・コレイで、その背後のスペースを吉田がカバーする、というやり方は前半のから変わらないものだったが、どうしてもルカクに引っ張られるその間をペリシッチが狙い始めたことで、出るか待つかの難しい判断を何度もしなければならなくなった。
75分が過ぎた頃から、サンプドリアの最終ラインは5人が並ぶ時間が増え、吉田はその右から2人目になった。最終的にサンプドリアはとうとう防戦一方になったが、吉田自身のタスクは前半に守っていた時と変わらず、背後を狙ってくるボール専門という役割だった。ある程度手前に入られることは覚悟でプレーし、クロスボールやコーナーキックの際に、ルカクやペリシッチが吉田の前でヘディングをする場面もあったが、それは覚悟の上だった。
アディショナルタイムに縦へのロングボールがペリシッチ目掛けて飛んできた時にも、相手についてはいるが、ジャンプして競り合うことはしなかった。無理に競り合わず、次のプレーに備えてすぐ動き出せるようにする、という約束事になっているようだった。辛い時間が続く中で、各自が焦らずに役割を全うした結果インテルの猛攻を凌いだサンプドリアは見事に勝利を収めた。
ここまで僅か1敗で、首位のミランと1ポイント差の2位につけていた強豪相手に結果を出したことで、吉田のサイドバックでの挑戦は続くことになるだろう。