サガン鳥栖“ユース最強”の理由(2)マジカルなまでの勝負強さの画像
まだ17歳の中野伸哉(サガン鳥栖) 写真:アフロ

※第1回はこちらより

2020年の暮れ、押し詰まったわずか3日間のうちに、サガン鳥栖の下部組織が2つの年代の全国大会で優勝を飾ってみせた。ともにノックアウト方式の大会であり、簡単にできることではない。しかし、ここ数年、鳥栖はU-15でもU-18でも、毎年のように好成績を残しているのだ。驚異的な勝負強さの理由はどこにあるのか――。

■ 接戦をものにする並外れた勝負強さ

 実際、2020年シーズンのサガン鳥栖U-15、U-18の勝ち上がりを見ても、薄氷を踏むかのような勝ち上がりの連続だった。

 高円宮杯全日本U-15選手権では、1回戦は対戦相手の大宮アルディージャU-15が出場を辞退したため不戦勝で、2回戦は青森山田中学に5対0と大勝したものの、準々決勝ではFCラヴィーダ(埼玉県)とスコアレスドローに終わり、準決勝ではFC多摩(東京都)と3対3で引き分け、いわゆる“街クラブ”との2戦はともにPK戦での勝利で決勝に進出したのだ。

 FC多摩との試合では前半はパスをつないで中央突破を図って来る相手に手を焼いて1対2とリードされ、システム変更を使って何とか後半立て直してPK戦に持ち込んだ苦しい試合だった。

 そして、40分ハーフで行われた決勝戦でも開始7分で鹿島アントラーズつくばジュニアユースに先制され、ようやく同点としたのは後半26分のことであり、決勝点も延長後半終了間際の96分だった。

 日本クラブユース選手権大会で優勝したU-18の方も苦戦の連続だった。

 1回戦、2回戦は2対0のスコアで勝ち進んだサガン鳥栖U-18だったが、準々決勝では横浜FCユース(プレミアリーグ関東優勝)と1対1の引き分けに終わり、PK戦で準決勝に進出。そして、鹿島アントラーズユースとの準決勝では68分に先制され(この大会は45分ハーフ)、84分にようやく追いつき、アディショナルタイムの93分に2点目を奪って逆転勝利で決勝進出を決めたのだ。

 そして、決勝戦でも開始わずか2分で守備のミスが生じてFC東京U-18に先制され、その後点を取り合って2対2の同点で迎えた試合終了間際の90分に決勝点を奪って3対2で勝利したのだ。

 こうした、大接戦やPK戦を繰り返しながら、両大会でタイトルを獲得してしまったのだから、その粘り強さ、勝負強さには驚かされる。

 いったい、サガン鳥栖の勝負強さの秘密とは何なのだろうか?

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