バルセロナでは、就任早々、難題に襲われた。ルイス・スアレス、イバン・ラキティッチ、アルトゥーロ・ビダルら昨季までの主力選手に戦力外通告をしなければいけなかったのだ。

 無論、「私は映画の悪役ではない」とクーマン自身が語るように、彼だけが悪者ではない。だがスアレスに対する扱いに不満を抱いたリオネル・メッシが退団を申し出て、それが引き金となりーーむしろ最後通牒だったかも知れないがーージョゼップ・マリア・バルトメウ前会長が辞任した。

 クーマンは先日、バレンシア時代を振り返り、「最高の思い出ではなかった。この15年で幾度となく監督交代が行われている。時に落ち着いて働くための平静さが欠けている、難しい場所だ」と語っている。

 現在、他ならぬバルセロナが不安定な日々を送っている。バルセロナはバルトメウの後任を決める会長選を控えており、メッシの去就も定かではない。そして、クーマンのポストさえも安泰ではない。

 クーマンはここまでコーチのアルフレッド・スロイデルやヘンリク・ラーションとうまくチーム編成を組みながら選手のマネジメントに成功している。次期会長の筆頭候補であるジョアン・ラポルタは現指揮官の続投の可能性を除外していない。

 ただ、日々、プレッシャーは増していくだろう。バルセロナで指揮を執り続けたいなら、できればタイトルが欲しい。

 そういったなかで胆力を示せるかが、ドリームチームの英雄に問われている。

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