■サイドバックとの関係で久保を見ると…

 候補者の多い2列目はどうだったか。

 久保建英三好康児はパナマ戦で2シャドーを任され、伊東純也鎌田大地原口元気はメキシコ戦で4-2-3-1の2列目に入った。システムも相手との力関係も違うので、単純な比較はできない。

 そのうえで言えば、メキシコ戦の前半の鎌田は見どころのあるプレーを見せた。1トップの鈴木武蔵との距離感が良い局面では、決定的なシーンが生み出された。遠藤と同じように彼もまた、所属クラブで深めている自信をプレーで表していただろう。

 注目の久保は、序列を変えるまでには至らなかった。

 パナマ戦では南野拓実のPK奪取につながるスルーパスを通しただけでなく、周囲とのコンビネーションで自らが生き、チームメイトを生かすことができていた。その一方で、2点ビハインドの局面で起用されたメキシコ戦では、チャンスを作り出せていない。ドリブルで相手を振り切り、直接FKの獲得につながった83分のプレーが唯一の見せ場だった。

 メキシコ戦の久保については、同サイドのサイドバックだった中山雄太との関連で触れるべきだろう。東京五輪世代のキャプテンは、10月のコートジボワール戦に続いて左サイドバックで起用された。本職ではないポジションだけに、多くを求めることはできない。ただ、攻撃へのかかわりが効果的だったメキシコのサイドバックを見せられると、物足りなさが募ってしまう。原口が2列目の左サイドでプレーしていた時間を含めて、攻撃への関与は限定的だった。

 同サイドのアタッカーとの絡みでは、パナマ戦に先発した長友佑都がスムーズだ。彼自身がゴール前まで飛び込み、決定的なシュートも放っている。

 もっとも、22年のカタールW杯まで視野を広げると、左サイドバックには新たな人材の登場が望まれる。パナマ戦で右サイドバックを任された室屋成は左サイドでも計算できるが、左サイドを主戦場とする選手をリストアップしたい。早い段階で塗りつぶしたい課題である。

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