バルセロナから見えたスペインサッカーのコラソン(4) ダビド・ビジャが語る日本サッカーの可能性 の画像
天皇杯優勝時のダビド・ビジャと神蔵勇太氏 撮影/渡辺航滋
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サッカーに携わる仕事をしたい――。そう願ってスペインへと渡った男には、現地で肌を通じて学んだからこそ見えてきた、ピッチ内外でのスペインサッカーの真の姿がある。世界的名門FCバルセロナの高名なるアカデミー「ラ・マシア」の内部を垣間見、久保建英とも知己を得て、現在では通訳も務めた元スペイン代表FWダビド・ビジャとビジネスパートナーとなり世界を視野にフィールドを広げる神蔵勇太氏に、スペインサッカーの真実、コラソン(魂、真髄)を聞いた。 

■日本の良さを見出したビジャ

 バルセロナが18歳以下の選手獲得ルールに違反したとして制裁を受けたために公式戦に出場できない状況を鑑み、久保建英は日本に戻ることを選択した。久保は、これを単なる失意の帰国にしなかった。スペインと日本、双方の良さを吸収したのだろうと、神蔵氏は考える。 

 同じように、日本の良さを発見した名手がいる。スペイン代表の歴代最多得点記録を持つ、ダビド・ビジャだ。神蔵氏は通訳として働いたヴィッセル神戸での、ビジャの言葉が頭に残っているという。 
 
「大学とトレーニングマッチや、ヴィッセルの育成年代の選手の練習参加など、ビジャにはプロ以外の選手のレベルを目にする機会が多くありました。そういう機会に、彼らの選手としてのクオリティに驚いたそうです。日本のサッカーのクオリティに、大変大きなポテンシャルを感じていましたね」 
 

 神戸でユニフォームを脱いだビジャは現在、世界を股にかける壮大なプロジェクトを展開しており、その一つが日本でも稼働している。この夏にはセレクションを経て、日本人選手をスペイン4部クラブへと送り出した。そこでの1カ月で2-3部の他クラブも含めて契約を勝ち取れるかもしれないという、飛躍のチャンスを与えるプロジェクトだ。
 
「その選手についてビジャが評価していたのは、おそらくスペイン人にはない俊敏性とボールを持つ技術でした。日本人のステップワークの速さと、日本の速いサッカーの中でボールを扱える技術は、他の国の選手には少ない要素だ、と。ただし、それを活かしながら海外で戦うのに必要な要素を足すことが必要です。乾(貴士)選手がそういう選手のヨーロッパ化した良い例だったね、受かった子がそういうケースになれるかもしれないね、と話していました」 
 
 その「ヨーロッパ化」とは何なのか。

「ヨーロッパのサッカーを理解し、そのプレー文脈を含めたパフォーマンスが必要となります。日本で培ったサッカーの文脈があるじゃないですか。さらに、日本的な文脈にヨーロッパサッカーの文脈を加えることができるかが、一つのポイントだと僕は思います」。神蔵氏はそう語る。

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