バルセロナから見えたスペインサッカーのコラソン(1) 天才の宝庫「ラ・マシア」 の画像
バルセロナ・下部組織でプレーするアンス・ファティ 撮影/渡辺航滋
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サッカーに携わる仕事をしたい――。そう願ってスペインへと渡った男には、現地で肌を通じて学んだからこそ見えてきた、ピッチ内外でのスペインサッカーの真の姿がある。世界的名門FCバルセロナの高名なるアカデミー「ラ・マシア」の内部を垣間見、久保建英とも知己を得て、現在では通訳も務めた元スペイン代表FWダビド・ビジャとビジネスパートナーとなり世界を視野にフィールドを広げる神蔵勇太氏に、スペインサッカーの真実、コラソン(魂、真髄)を聞いた。 

■子どもの頃から飛び抜けていたエリック・ガルシア

「中学生の段階で限界を感じていたので、プロ選手になるのは無理だろうな、と諦めました」。神蔵氏は、そう言って笑う。 
 
 子どもの頃からサッカーに親しみながら、見切りをつけるのは随分と早かった。だが、すでにその魅力のとりことなっていた神蔵氏は、サッカーの世界で生き続けることを志す。 
 
 その時、運命の羅針盤はすでに行き先を告げていた。「リバウドがいて、UEFAチャンピオンズリーグ出場を目指す段階のチームでしたが、そこから会長が変わってロナウジーニョが来て、一時代を築くというサッカークラブの進化のプロセスが、僕の中学、高校時代に起きていたんです。だから、サッカーの現場、サッカーの市場で働くヒントがそこにあるんじゃないかと思いました」。目指したのは、世界的名門クラブが生きる街、スペインのバルセロナだった。 
 
 大学時代に1年間留学してスペイン語を学び、卒業の半年後には現地の大学院へ入学。スポーツマーケティングを修めると、バルセロナで日本人選手受け入れのコーディネートなどをする日本の会社の現地担当者となった。 

神蔵勇太氏 撮影/サッカー批評編集部

 
 日本から受け入れるだけではなく、日本へ出向くこともあった。バルセロナの少年チームにアテンドしての、2013年から日本で開催されてきたU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ(以下、ワールドチャレンジ)への参加も、そのひとつだ。リバプールを決勝で破った第1回大会では、現在はマンチェスター・シティに所属するエリック・ガルシアがMVPとなり、今年9月にスペイン代表の史上最年少得点者となったアンス・ファティが得点王に輝いた。 
 
「アンス選手やエリック・ガルシア選手の年代は、本当にすごかったですね。コンラット(・デ・ラ・フエンテ)選手というアメリカ代表もいて、今はバルサBのウィングです。プロまで駆け上がった選手が非常に多い世代でした。
 
 当時のワールドチャレンジでも、エリック選手は傑出していました。23人が登録されているので、良い選手であっても基本的にフルでゲームに出ることはありません。育成年代では平等にゲームタイムを与えるという原則がバルサにはあります。ただし、CBのエリックは常にフル出場。評価がとても高かったですね。それにアンス選手も、当時背が大きかったので一つの上の代でプレーし、よく点を取る選手でした」 

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