仙台が4-4-2を採用したことは先述したが、それによって、メリットが2つあった。
1つは、サイドでの縦関係が明確になったこと。そして2つ目は、中央にフォワードが2枚いたことだ。これによって、サイドバックがクロスを上げるシーンが増え、ゲデスや長澤がクロスに合わせることもできた。
先に述べた2つの決定機は、いずれもゲデスが中央にいて、長澤はファーにいたことが大きい。これまでの仙台の3トップでは、クロスに対して中で待つ人数がどうしても少なかった。
木山監督は「ウイングがいない」という理由で4-4-2を採用したという。ボックスの中を埋める作業や、ボランチのサイドのケアという点では課題はあったものの、攻守両面で安定感を感じさせた。川崎は中2日、しかも、一発勝負を落とすという難しい心理面での戦いだったことは考慮しなければいけないが、10戦未勝利の仙台にとっては自信につながる後半だった。
そして、仙台が後半に攻撃を構築するのと同時に、中盤で躍動したのが田中渉だ。川崎戦に出るまで2試合35分しか出場機会のなかった20歳が、仙台に足りなかったあるピースを埋める可能性を感じさせたのである。