■誰もが復活の日を待ち望んでいた

 レディースは強豪INAC神戸との準決勝を劇的な逆転で3-2の勝利。後半32分にコーナーキックから豪快なヘディングで決勝点を挙げたのは、中学生時代からレッズランドで練習し、いまやなでしこジャパンでもセンターバックとして不可欠な存在となった21歳の南萌華だった。12月29日のNACK5での決勝戦には、クラブスタッフが総出でかけつけ、熱い声援を送った。惜しくもリーグチャンピオンの日テレ・ベレーザに0-1で敗れたが、素晴らしい試合内容と選手たちのがんばりは、さらにスタッフたちの心を浮き立たせた。

 そして2020年を迎えたとき、松本さんは体から新しい力が沸いてくるのを感じた。両肩にかかっていた大きな重荷がいつの間にか消えていたのに、松本さんは気がついた。復旧作業は順調に進み、1月には天然芝を使ってのアカデミー(ユース)の練習を再開できる見通しも立った。人工芝ももうすぐ使えるようになるはずだった。そして2月には、ハードコートのテニス場もオープンさせることができる。一般の利用としては初めてのことだ。

 2月、テニスコートでは、テニスクールが始まった。指導者たちは外部委託だったが、レッズランドが使えなくなると彼らは自分たちで使えるコートを探し、会員にアナウンスしてスクールをつないでくれていたのだ。同じようなことは、フットサルスクールでもあった。誰もがレッズランドが復活し、そこに戻ることができる日を信じ、「クラブ」を懸命に守ってきたのだ。

 だが2月に入って少し工事が滞るようになった。年度末で工事会社が人手集めに苦労するようになったからだ。そのため、「A1」と呼ばれている人工芝のピッチの工事終了が約1カ月遅れた。だがそれ以外はすべて順調だった。最後の大仕事は、クレーテニスコートに隣接する駐車場に置かれた大量の土砂の搬出だった。トラックがひっきりなしに堤防越えの狭い道を行き来するため、その終了を待たなければなかったが、4月中にはほぼ作業を終えられる見通しとなり、ゴールデンウイーク明けからサッカー場の一般貸し出しを再開する予定が決まった。サッカー場の再開は、レッズランドの再開を意味していた。

※第4回につづく

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