イニエスタがいる神戸だからできることがある。左足からの長いパスに驚いた
アンドレス・イニエスタをデジタルのカメラで初めて撮ったのは2004年9月29日、カンプ・ノウでのUEFAチャンピオンズリーグのシャフタール・ドネツク戦だった。たぶん、その前のシーズンにもフィルムのカメラで撮っているはずだが、いつなのかは覚えていない。
イニエスタの存在感はフランク・ライカールト監督の下で急速に増幅していく。2005-06シーズンのUCLの決勝ではアンリらと渡り合い、ビッグイヤーを手にした。
今はもうなくなってしまったが、バルセロナでよくランチに通っていた店の壁には、幼さを残したマシア時代のイニエスタの写真があった。白い顔が印象的だった。
そんなイニエスタも36歳になった。もちろん体力的には落ちているが、イルシオニスタと呼ばれた幻想的なテクニックと判断力は衰えていない。
神戸にはあのイニエスタがいることを、改めて認識した。私が神戸のスタジアムで試合を撮るのは1年に1回か2回だ。今シーズンは1回目だ。「いい日に当たった」と思った。
三浦淳寛が新監督になっての初戦、イニエスタはフルタイム、ピッチに立って随所で華麗なパスを決めて見せた。3点目につながる左足から放たれた鋭い長いパスは的確で驚きだった。自陣右から斜めに出されたそのボールを左で受けた古橋亨梧が独走してゴールを決めた。
4-0。
勝てなかった神戸が2連勝した。神戸にはイニエスタがいる。