そして一番の問題は、セティエンがバルセロナにとってラ・リーガ初戦であるビジャレアル戦におけるクーマン監督の立ち位置について触れていることだ。地元メディアも、セティエンの考えと同じように、「セティエンの解雇」が確定しない限り、クーマン監督の監督ライセンスが実効性を持たない可能性があるという。セティエンとしては、バルセロナに再び“1か月の沈黙”をさせないために、ビジャレアル戦をちらつかせた可能性もある。
ビジャレアルには、ご存じの通り久保建英が所属している。久保にとっては、自分を育ててもらった古巣・バルセロナとの対戦であり、いやでも気合が入ろうというもの。かつて、下部組織で10番を背負ったタケが、バルサの絶対的10番であるリオネル・メッシとラ・リーガで対戦することに注目が集まっていたが、今回の新たな騒動で、そこに水を差された形だ。
セティエンはスペインサッカー協会、そして、ラ・リーガの判断も仰ぐ形で、「自身の正式な解雇手続き」を求めており、バルセロナはスルーできない状況だ。今後、クーマン監督のライセンスがリーグから認められるのか、そして、セティエンとバルセロナが和解できるのか。ビジャレアル戦がある9月27日までに何かしらの決定が示されなければ、バルセロナの選手や監督にとっても、そして、ビジャレアルと久保建英にとっても、純粋に試合に集中できないことになる。
クーマンとしては、ここまでプレシーズンマッチで2連勝しており、何よりメッシを2戦連続で先発させるなど、その軋轢に改善の兆しが見えていただけに、開幕戦のベンチになんとか座りたいはす。はたして、チームと指揮官の運命は――。