勝っちゃったよ・・・と思いながら、私はいつもよりも派手に喜ぶミゲル・アンヘル・ロティーナ監督を撮っていた。
65分、清武弘嗣のロングボールに抜け出した片山瑛一を横浜F・マリノスの伊藤槙人が倒してDOGSOで退場になり、セレッソ大阪は1人多くなった。直後にボランチの位置にいた木本恭生を下げてフォワードの高木俊幸を投入したが、アタッカーを増やしたわけではなく、奥埜博亮がボランチに下がった。ロティーナ監督はあくまでもバランスを大事にする。
その後、1―1のまま迎えた83分に、セレッソは3回目の選手交代で清武を丸橋祐介に代えた。ここでもやはり、ロティーナ監督は必要以上のリスクを冒さなかった。
清武を下げた、という部分ではなく、西川潤や1週間前のJ1デビュー戦でゴールを決めた藤尾翔太がまだ控えにいるのに、丸橋だけを選んで5人使える交代枠を2つ余らせて終えることになったところが、ロティーナ監督らしかった。
守備面で若手アタッカーより確実な丸橋の投入は、無理をしてやられることは避けろ、というメッセージを感じる場面だが、完全な引き分け狙い、ということではない。人数で有利なセレッソがゴールに迫れば、ファウルで止められることも増える。そうなれば丸橋のフリーキックが大きな武器になる。ロティーナ監督の好むバランスは、このような按配だ。守備的、よりも、現実的、という言葉が相応しい。