■高めあうライバルの存在
8月29日のG大阪戦でも中村は先発。この試合でも、G大阪の攻撃陣を相手にクレバーな対応を見せるなど、只者ではないところを見せつけた。スプリントは、26本という数もさることながら、その質も見せつけたのだった。
どのチームにとっても、不動の選手の移籍は痛手だが、室屋の穴埋めの目途はほぼ立ったといっていい。また、右サイドバックの先発を争う中村帆高の存在も、中村拓海の気持ちを高ぶらせるはずだ。1試合の平均プレー数は、帆高に比べ1.58倍と積極性も光り、ファーストチョイスになりつつある。ただ、出場試合数はまだ3試合。今後、表出するであろう課題をクリアしながら成長すれば、日本でも屈指の存在となる可能性がある。
東京五輪世代ながら、各メディアが予想する代表18人枠の中に、中村拓海の名前が出てくることはなかった。しかし、開催までまだ1年近くある。その時、招集メンバーの中に彼の名前があっても、驚くべきことは一つもない。
「将来は海外トップのリーグでプレー」と目標を話す、FC東京の、そして東京五輪の新兵器から目を離してはいけない。
中村拓海(なかむらたくみ)/2001年3月16日生まれ。大分県出身。177センチ、68キロ。 大分トリニータU-12-大分トリニータU-15-東福岡高ーFC東京。背番号22。