■相手GKの位置を見て強烈なボールを…
緊張のファーストタッチ、という素振りを一切見せなかったのが、中村の突出しているところ。D・オリベイラから横パスをもらうと、数歩ボールを持って持ち上がるや、ペナルティエリア右端付近から思い切ってシュートを打ったのだ。ファーストプレイらしからぬ思い切ったシュートは、枠をしっかり捉え、相手GKもしっかりキャッチできなかった。
さらに7分、湘南がブロックを敷いてFC東京の攻撃に備える中、右サイドでスプリントをかけて相手の裏を狙う。これまたD・オリベイラが出したスルーパスのタイミングと完全に一致。中を見た中村は、相手GKの位置を見るや、クロスではなくシュート性の強烈なボールを“ゴールの中”めがけて放ったのだ。相手GKは態勢を崩しながら弾くのがやっと。衝撃のプレーだった。
守備面でも奮闘し、58分、湘南のMF馬渡和彰がFC東京のDFラインを抜けて右サイドから鋭く攻め上がり、DF渡辺剛が切り返しでかわされたところ、その切り返しに突進するGK林彰洋と衝突しながらもボールをかき出す。恐怖よりも先に足を出した。
デビュー戦とは思えぬ中村のこの強心臓は、このデビュー戦だけでなく、ここまで出場した3試合すべてで発揮している。初めて中村を見て、19歳のプレイヤーとはとても思えないだろう。
中村拓海(なかむらたくみ)/2001年3月16日生まれ。大分県出身。177センチ、68キロ。 大分トリニータU-12-大分トリニータU-15-東福岡高ーFC東京。背番号22。