久保建英、バレンシア戦途中出場の意味(2)「24分間のプレーの収穫」の画像
攻め上がる久保建英  写真:ムツ・カワモリ/アフロ
プレシーズンマッチで久保建英が見せた飛ぶようなドリブル

※その1はこちら

 では、久保建英のボール非保持時の動きはどうだったか。ビジャレアルで求められていることを、探ってみたい。

 久保は、左サイドハーフのモイ・ゴメスに代わって出場した。ビジャレアルの左サイドは、主に2つの形があった。まずは、モイ・ゴメスが中にやや絞ってポジションを取り、サイドバックの上がりを促す。もう1つは、2トップの1枚と左サイドハーフ、左サイドバックの3人で三角形を作り、ボールの出口としてコクランがポジションを取るというものだ。

 しかし、久保が入ってからは全く異なり、久保はボール非保持のときこそ左サイドをケアするが、ボール保持になるとトップ下に入った。つまり、ビジャレアルの攻撃時は左右でまったく違う姿を見せた。

 ただし、これが機能したとは言い難かった。先述したように、中央に位置した久保のボールタッチが少なかったからだ。周りの選手がボールを持ったとき、久保はパスコースにポジションを取ってボールを受けようとしたが、それがつながることはなかった。

 これは久保や周囲の責任というよりは、プレシーズンマッチの“仕様”と言ったほうがいいだろうか。監督から言われた戦術を意識しつつ、お互いがどんなプレーをするのか確認しながら行う。さらに、シーズン中とは違って体のキレもなければ、試合勘も乏しい。むしろ、久保がこれを続けることで、チームメイトに久保の動きを分かってもらうことのほうが重要だ。

 ここで気になるのは、久保の大胆な中央ポジション取りだ。個人の判断であそこまで中に入るとは考えにくいから、ウナイ・エメリ監督の指示だろう。スキルに長けた久保を中央に置くことによって、中央から攻めたかったか、あるいは、中央でタメや厚みを作りたかったのかもしれない。

 一方で、前半のビジャレアルは中央から攻め上がることはなかった。1点目を挙げたチュクウェゼがクロスに反応して中央に入ってきたが、それは中央からの攻めとは言い難い。バレンシアの中央にスキがなかったことから、ビジャレアルがサイドからしかボールを回せなかったこともあるし、ボランチ2枚が新加入選手ということで、まだ中央の攻めが整備されていないからかもしれない。

PHOTO GALLERY プレシーズンマッチで久保建英が見せた飛ぶようなドリブル
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