2018年夏にクリスティアーノ・ロナウドがユヴェントスに移籍して以降、マドリーが得点力不足に陥っているのは事実だろう。今季、チーム内得点王はベンゼマ(27得点)だったが、2番目のゴールスコアラーはセンターバックのセルヒオ・ラモス(13得点)である。本来であれば、エデン・アザール、ヴィニシウス・ジュニオール、ロドリゴ・ゴエス、ヨヴィッチらの名前がここに挙がってこなければならなかった。
だが現在の状況で大型補強は簡単ではない。「大型補強が自然にできるように待たなければいけない。それが可能になった時、レアル・マドリーは再びビッグプレーヤーを引き入れる。いまは状況が非常に悪い。選手たちに減給を要求して、大物選手を獲得するような真似はできない」というのがペレス会長の見解だ。
ただでさえ、近年、移籍市場はバブル化している。マンチェスター・シティやパリ・サンジェルマンといった「国家クラブ」の存在は移籍金の高騰を引き起こした。ネイマール(2億2200万ユーロ)、キリアン・エンバペ(1億8000万ユーロ)の獲得資金を見れば、それは明らかだ。健全経営を望むペレスが、その戦いに挑むとは思えない。彼はレアリスタ(現実主義者)なのだ。
新型コロナウィルスの影響による経済的打撃で各クラブが緊縮財政に走るなか、マドリーもその流れに逆らわないだろう。一方でメディアとファンは補強を訴える。理想と現実の狭間で、マドリーは前例がない夏を過ごすことになる。