■アダイウトンの独走ゴールを読んだ青木のミス
東京と浦和。上位対決の明暗を分けたのは、ひとつの大きなミスだった。
7月18日の味の素スタジアム。1-0で東京がリードする66分、センターサークルで斜め後ろからのパスを受けた浦和の青木がトラップミス。大きく浮かしたところを、アダイウトンに奪われてしまう。
ここから独走が始まり、浦和は追走した青木を含む3人が阻もうとしたが、ゴールを揺さぶられてしまった。
決めたアダイウトンはたしかに素晴らしかったが、このゴールは青木のミスがなければ本来生まれなかった。そしてこのミスに、日本サッカーの抱える課題がある。
強引に名づければ、“背後からのプレッシャー問題”である。
サッカーで生計を立てていくには、だれもが真似できないような能力を持たなければならない。
その中でもきわめて重要なのが、背後からプレッシャーをかけられた中で前を向く能力だ。
この一戦はスコアでも内容でも東京の快勝だったが、戦況を大きく左右したのが、この能力だった。
浦和では青木が前を向く以前に致命的なミスを犯し、一方の東京は大事な場面で前を向き、次々と裏を取った。
51分には東。自陣に引いてタテパスを受ける瞬間、さりげない右足アウトで斜め後ろの橋本へ。プレッシャーをかけてきた、浦和のふたりを一気に置き去りにした。
57分には自陣でスローインを受けたレアンドロが、見事なターンで柴戸を置き去りに。
88分にもレアンドロ。今度はボールを器用に動かし、青木の前に入り込んだ。
こういうプレーが飛び出すと、一気にチャンスが生まれる。流れにアクセントがつくことで、ゲームは格段に面白くなる。