主将の西川は、「先制されるあとは相手がこちらに対してしっかりブロックして、中をやらせない、カウンターをやらせないところを徹底してきたと感じた。次の段階として引かれた相手を自分たちがどう崩していくか、シーズン通して、もっともっとやっていかなければならない」と課題を挙げた。
MF柴戸海は「ちょっとしたところの勝負の際(きわ)で負けてしまったのが敗因。決めきる勝負強さが足りなかった」と嘆いたうえで、「ボランチからスピードがあがるボールを入れたり、裏を突くボールが今日はあまりなかった。攻撃のバリエーションやどこで攻撃のスイッチを入れればよいのか、ひとりというよりチームとしてどう相手を崩すのかが問題」と、攻守両面におけるチームの共通意識についても反省を口にした。
連携面、強度、試合の流れを読む力――「堅守速攻」を旨とするチーム同士で積み上げた時間が、そのまま結果に表れたゲームとなったといえよう。
浦和は今季ここまで粘り強い守備と「右で守って左で崩す」攻撃がある程度、うまくいった。だが、チームやユニットでの動き以上に、個人能力で押し切る傾向は強く、それはいわば“コンディション任せ”という言葉に集約されてしまう。選手のコンディション次第となれば、夏場の過密日程を迎える今後、さらに、リスクは大きくなる。
攻守の連携、熟成はこれからの課題。西川、柴戸が指摘した通り、守備から攻撃へのバリエーションを増やさなければ、今回の“完敗”のような結果が続いてしまう恐れがある。
首位まで勝ち点差はわずか3の6位、という現状とはかみ合わない、深刻な課題を抱えているといわざるを得ない。
次の柏レイソル戦。連戦も相まって、戦術の浸透と確認に時間を割くことはかなわない。コンディション調整に努めることになり、十分な振り返りもできないかもしれない。とはいえ、2022年の優勝を目標に掲げた以上、一朝一夕ではいかないが、「味スタショック」で得た教訓を次への糧としなければいけない。それは、日本一のサポーターを持つクラブの義務でもある。