大住良之×後藤健生『深夜の激論』!「J1再始動――世界屈指の面白さ」(1)湘南の怒涛の攻めも…90分間不落の仙台の画像
木山隆之監督(仙台)
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 2020年7月4日。ついにJ1リーグが再始動した。ファン・サポーターは観客席にいない。チャントや歌声は聞こえない。それでも、リモート観戦者たちのおくる熱い思いが、リモートマッチを戦うチームを奮い立たせる。ボールを蹴るボスッというド迫力の音が、指示を送るGKの大声が、スタジアムに鳴り響く。

 取材席の数は、1試合あたりわずか25席。そこに座る幸運にあずかったベテラン・サッカージャーナリスト2人が、TV観戦をした進行役と、マスクごしに口角泡を飛ばして語り合った。大住良之さんは、埼玉スタジアム2002から、後藤健生さんはBMWスタジアム平塚から、試合後に編集部へと駆けつけた。深夜0時にスタートした熱い激論は、予定の時間をはるかに過ぎても終わろうとする気配すらなかった。

進行:半田雄一/中田功(本誌編集長)

 

■攻めに攻めた湘南だったが……

 半田 今年のJリーグの現場、ピッチの内と外はどうなっているのか、という話から。きょうは大住さんは埼玉スタジアムの浦和レッズ対横浜Fマリノスに、後藤さんは平塚の湘南ベルマーレ対ベガルタ仙台に取材に行きました。テレビをつけてボクはまず、スタジアムが静かなのでビックリしたんですけれども。

大住 あのね、ボクは先週はJ2の千葉に行ったんですよ。千葉と大宮の試合だったけど、ずっと試合中にサポーターの歌が流れているの。それで、すごく違和感があって。なんか、隣の公園でお祭りやっているみたいな感じで。プレーとはやっぱ合わないんだよね。今日の浦和では全然、音は流さず。スタンドに飾りはしてあったけど。やっぱり無観客は無観客でやればいいんじゃないのって気がする。

後藤 平塚も歌を流していて。まあそれなりにメリハリはつけていて、チャンスはチャンスって感じでやってたけど、ちょっと音響が悪かったね。音が割れちゃってて。

大住 まあ千葉(フクダ電子アリーナ)は音響が良すぎるんだよ、きっとね。ずっと流していた。

後藤 ずっと流しちゃいけないよね。

大住 それで、試合が大宮の勝ちで終わった瞬間、パッと音が消えるんだよね。すると大宮の選手が「オーッ」って言ってて。なんかすごく違和感があったな。

後藤 でも、生で見ていると気にならないね、ほとんど。無観客ってことに。

大住 うーん。まあゲームを見ているとね。ブンデスリーガとか韓国リーグもそうだけど、(無観客は)あの辺から始まったでしょ。最初に見たら、なんて軽い甘い試合をやってるんだろうって。特に最初の15分、20分くらいは思ったんだけど。でもJリーグはね、最初からガッチンコガッチンコで……。

後藤 それはちょっとボクは、今日の試合の印象は違う。

大住 そう? 今日は激しかったよ、浦和と横浜。

後藤 いや。平塚の試合が違ったっていうのは、最初15分くらいすごく間延びしちゃって、まあ、細かいことはいっぱい言いたいんだけど。全体としては間延びしてたんだよ。そしたら、だんだんやっているうちに激しくなって、タイトになってきた。やっぱり、試合であっという間に感覚が戻ってきたのかなって。そういう印象をうけた。

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