■森保監督にはメッセージ力が足りない!?
――久保建英選手がいなかったからといって許されるものではないと。
戸塚 ではないと思います。ただ、一方では、杉山さんも言ったように、森保さんが兼任だから、ほとんど五輪代表のチーム作りのプロセスに携わっていないとも考えられるんです。
杉山 そうそう。だから、半分中間管理職みたいな感じになっちゃってるんです。
戸塚 東京五輪の代表に関しては、ほぼほぼ横内さんがずっと、陣頭指揮をとってきたんですよ。30試合近くやってきて、そのほとんどには横内さんが携わってきてて、皮肉なことに、森保さんが五輪代表監督になった瞬間に、昨年11月のコロンビアに負けて(0-2)、12月はジャマイカとやったけど、あんな弱すぎる相手には大勝した(9-0)。だけど、1月のAFC U-23選手権の本チャンでは負けちゃった。そういう意味で言うと、流れが森保さんにはまったく向いてないんですよ。
――つまり、森保監督は指導できてないと。
戸塚 できていないですね。
杉山 だから、フル代表もやっているからですよ。
戸塚 結局、ものすごく中途半端になっていますよね。
杉山 僕は、もっと自分に自信を持って、偉そうな感じでやった方が良いと思うんですよ。代表監督って結局、みんな失敗する可能性があるんですよ。ハリルホジッジだってそうだけど、4年間やってうまくいく人って中々いない。もうちょっと自分は何をしたいのか、とかもっとサッカーの根源的な話をしなきゃ、4年間を乗り切ることができないんですよ。やっぱり、会見の席上で、記者が「アッ」って思う言葉をたまには吐かないと。まあ、森保監督より僕らの方が年上で、年下の人だからという目で見ちゃうところもあるんだけど。
でも、記者会見ルームで、記者席の前段に陣取っている人たちは、森保監督より20歳ぐらい年上の人がいるわけです。僕よりも上の人たちが。彼らを前に偉そうな顔もできないという気持ちも分かるんですよ。そうなんですが、やっぱり偉そうにやんなきゃダメなんですよ。それがカリスマ性につながっていくんですが、日本人らしいというか、そういうことになれてない気がします。
――メッセージ力が足りない?
杉山 そうなんです。それがあると迫力が出てくるんですよ。僕が見ているのはそこです。監督としての器がどのぐらいあるのかというところ。僕ら記者が、質問や意見を言うじゃないですか。そしたら、ちゃんと言い返すぐらいの気持ちがあることが大切だと思うんです。さっきも言ったけど、みんな、サッカーの見解が100%一致することなんてないわけです。それで、ああだこうだ言うのが僕らの仕事なんですが、これは批判しているわけではないんです。意見を言って、監督とは差があって、あれ、この違いって何だろう、というのを世の中の人に知ってもらいたいために言っている。批判してるように見えるんだけど、「辞めろ!」というのとは全然違うんですよ。現状の森保さんには、ちょっと苦しいな、というのは感じるけど、辞めろとは僕は言ってないです。
戸塚 難しいですね。
杉山 そう、難しいんですよ。だから、自分の中では、森保さんのことは、結構擁護はしているつもり。
――杉山さんは、ハリルホジッチのときは厳しいことを言われていましたよね。
杉山 まあ、ハリルはさ、僕よりも年上だし、今までもヨーロッパでもやってきたし、向こうも100%で、日本サッカーに対してめちゃくちゃ言ってきたりするわけですよ。そしたらこっちも100%でめちゃくちゃ言えばいい(笑)。それも案外エンターテインメントですよ。
こう言っちゃなんだけど、サッカーは娯楽だから。サッカーやスポーツを大真面目に真剣勝負というか、過大に考えて、死ぬか生きるかみたいに捉えている人がたくさんいるけど、別に日本がロシアW杯のノックアウトステージ、ラウンド16のベルギー戦に負けたってね(2-3)、終了間際に1点取られたって、ドーハの悲劇で、本当に悲劇になったって、誰も死んでないんですよ。ただのエンターテインメント上の話であって、非常に面白い敗戦話じゃないですか。
――ドラマチックだということですか?
杉山 エンターテインメント。それを、負けたからといって、汚い言葉で罵ったりする。それはダメなことなんです。
――戸塚さんは、森保監督の言葉についてどう考えられますか?
※ 杉山氏・戸塚氏の日本代表談は中編に続きます。ぜひご覧ください。