欧州移籍市場への“コロナ”衝撃波!(3)失意の男の「復権」はなるか?の画像
ガレス・ベイルの進む先は... 写真:AP/アフロ

新型コロナウィルスは、世界中のあらゆる事象に大きな影響を与えている。サッカー界も例に漏れず、さらにはこの先、夏の移籍市場がどうなるのかも分からない。果たして欧州サッカー界は、「コロナショック」でどう変貌する可能性があるのか?

1億ユーロが「無料セール」に!?

 移籍金はクラブにとって投資に他ならず、高額になるほど選手への期待の高さを表す。当の選手にとってはプライドの源になるとともに、大きなプレッシャーでもあるだろう。

 移籍専門サイト『transfermarkt』にある歴代高額移籍金トップ10には、そうそうたる面子が並ぶ。だが、この栄光のリストは働きぶり次第で「がっかりランキング」にもなりかねない。

 2013年夏、ガレス・ベイルは「1億ユーロの男」との異名を頂戴した。それまでの移籍金最高額は、2009年にクリスティアーノ・ロナウド獲得のためにレアル・マドリーが支払った9400万ユーロ。そのR・マドリーはベイル獲得のためトッテナムに1億ユーロを支払い、自ら4年ぶりに記録を塗り替えた(のちに1億100万ユーロと、さらに詳細が報じられた)。

 ベイルは、その金額に見合う働きができたのか。移籍初年度のチャンピオンズリーグ決勝(CL)で、ビッグイヤーを引き寄せるゴールを決めた。5年後のCL決勝でも、2ゴールを決めている。だが負傷も多く、常にコンスタントな働きを続けたとは言い難い。

 ジネディーヌ・ジダン監督には、昨夏の時点で移籍を勧められている。今のR・マドリーでは、もはやベイルに未来はない。移籍こそが生き返るための唯一の道なのだ。

 昨夏にも、ベイルは退団に大きく近づいた。行き先は中国の金満クラブだった。江蘇蘇寧が2500万ユーロの年俸を用意したのだが、R・マドリーがプラスアルファの移籍金を要求したために話は流れてしまった。

 今となってはベイル、そしてクラブも、中国行きの消滅を悔いているはずだ。ベイルはほぼ戦力外の扱いを受け、中途半端な時間を過ごした。R・マドリーとしても、ベイルの現行契約が残り1年となる今夏が最後の売り時となるのだが、コロナ禍がサッカー界全体を直撃して市場価値が大幅に地盤沈下した。さらには移籍金を手にするどころか、とにかく1700万ユーロと言われる高額なベイルの年俸をカットするために、タダでも放出するのではないかと報じられる始末だ。

 ただし、捨てる神あれば、拾う神もある。獲得候補として名前が挙がるのが、プレミアリーグのニューカッスルだ。サウジアラビアの富豪による買収間近と言われるクラブが、新体制の目玉選手として獲得に乗り出すという話が根強く報じられ続けている。

 ベイルの代理人は大西洋を越えたアメリカのMLS行きも探ったが、高額年俸を理由に返答は「NO」だったという。他国のリーグからも声がかかることはなく、再起の道はイングランドにしかないのかもしれない。

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