五輪取材の裏側! スポーツライター杉山茂樹×戸塚啓“俺流激突”対談 前編
杉山氏(左)と戸塚氏

 いまだ収まらないコロナ禍。東京五輪は来年の夏への延期となり、一部を除き世界各国のサッカーのリーグ戦、チャンピオンズリーグも延期や中止となるなど大きな影響が出ている。Jリーグも、2月25日に試合開催の延期が決まり、2節以降が開催されておらず、いまだ、リーグ再開の日付は決まっていない。
 まさに未曽有の事態を迎えたサッカー界。本来は、今から2か月後の7月から始まる東京五輪で、森保一監督率いるU―23サッカー日本代表は、各予選を勝ち抜いてきた世界の強豪国と対戦することになっていた。東京五輪は来夏へ延期となり、現時点ではまだ年齢制限が設けられている男子サッカーの出場条件についての正式な発表もなされていない。
 今回、辛口の評論でおなじみの“サッカー番長”こと杉山茂樹氏と、サッカー日本代表取材数409試合を誇る戸塚啓氏、2人のベテランスポーツライターが、五輪取材の裏側を語り合った。

 

杉山  スポーツの媒体、メディアで働いている人の中でも、東京オリンピックをある程度節目にしている人は多かったと思いますよ。たとえば東京オリンピック関連の書籍ですよね。まあ、サッカーはあまり関係ないんですが。あと、特にカメラマンとかは、広告の仕事が入ってくるじゃないですか。僕らライターは広告の仕事とかはそんなに入らないですが、やっぱり、モチベーション的に東京オリンピックあるからやってこられた、という人もけっこういるんじゃないですかね。

戸塚  僕なんかもサッカー以外の競技に、注目するようになっていました。少しですが仕事もありましたし。それも延期でなくなってしまいましたが。

杉山  でも、僕はあまり東京オリンピックには個人的にそんなに期待してるタイプじゃないんで。だから、それでどうのこうのってないけど、やっぱり幻想を抱く人は多いわけなんです、やっぱり東京オリンピックに。サッカーの関連の人はそうでもないと思うけど、一般の、陸上とかを取材している人は、自国開催の東京オリンピックって大きいものだと思いますね。

――戸塚さんは、仕事面においてオリンピックというのはいかがでしょうか?

戸塚  どうなんでしょうね……。実は僕は、オリンピックは一回しか取材したことないんです。前回のリオだけですね。だいたいオリンピックって、取材パスを持ってるかどうかが非常に大事なんですけど、杉山さんはパス持ってました?

杉山  前回はなかったね。

戸塚  僕もなかった。でも、パスがなくても、大会前では仕事ができるじゃないですか。五輪本番が始まる前に練習などの取材をするという意味ですね。だから、僕は、過去1回しかオリンピックに行ったことがないんですが、オリンピックの仕事って半分くらいは大会前に終わるものだな、みたいな感じがあるんです。

杉山  僕は夏のオリンピックは5回くらい行ってるんですよ。でも、サッカーパスっていうものじゃなかったですね。5回中、パスは2回持ってたのかな。

戸塚  サッカーだけじゃなくて、全部の競技に行けるパスですか?

杉山  そうそう。サッカーパスは1回ももらってないな。

戸塚  そうですか。じゃあ、普通のオリンピックの取材パスなんですね。

杉山  そうだね。だけど、そういうパスを持ってると、僕は、変な話、1996年のアトランタオリンピックに行っててもさ、サッカーを見に行ってないわけですよ。

戸塚  マイアミで行われた試合(日本五輪代表がブラジル五輪代表を1対0で下した。“マイアミの奇跡”と呼ばれた試合)とかですね。

杉山  マイアミとか興味ないから。オリンピックのサッカーには。

―― (笑)。

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