ジーコ 写真/ガブリエル・エステ―ヴェス
ジーコ 写真/ガブリエル・エステ―ヴェス

(この記事は2017年6月13日に発行された『サッカー批評86』(双葉社)に掲載されたものです)

文◎マルタ・エステーヴェス Martha Esteves

翻訳◎大野美夏 Mika Ono

撮影◎ガブリエル・エステーヴェス Gabriel Esteves

ブラジルのレジェンド。その説明はもはや不要だろう。Jリーグの鹿島アントラーズに伝統となる「イズム」を注入し、日本代表監督として2006年ドイツW杯にも出場した。そんな日本サッカーの功労者でもあるジーコに、セレソンの「これまで」と「これから」=35年の所感をW杯を軸に語ってもらった。

 ジーコ。この名前を聞いて、悪口を言う人などブラジル中探してもいないだろう。彼がフラメンゴで、セレソンで、そしてブラジルサッカー界でやってきたこと、やっていることを見れば、彼がいかにサッカーを愛しているか、誠実であるか誰もが分かる。

 さらに、イタリア、日本、イラク、トルコ、ギリシャ、ロシア、ウズベキスタン、カタール、インドと世界の様々な国で選手として、監督として、伝道師としてサッカーの発展に貢献してきた。

 現在64歳になったジーコは、これまでのサッカー人生で得た知識、経験を伝える作業に力を注いでいる。それが、オリジナルチャンネルであるYoutubeのカナウ・ジーコ10(ジーコ10チャンネル)とエスポルチ・インテラチーヴォ局(インターネットTV)だ。編集に頼らないジーコがありのままの言葉でありのままの思いを伝える。

「自分の考えていることを正直にそのまま話す」

 フラメンゴで引退して30年近く経つというのに、クラブにとって永遠で最大の英雄である。フラメンゴの本拠地ガヴェアでイベントのあったこの日、熱狂的フラメンゴファンが集結してもみくちゃになる中、このインタビューが行われた。

 3回のW杯に出場し、約13年に渡り89試合66ゴールを記録した、文字通りセレソンの「レジェンド」。そんなジーコが35年間のセレソンの変遷、その時々のチームについての印象と、2018年ロシアW杯に向けた熱い思いを語ってくれた。

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