村井満(左)、木之本興三 写真/渡辺航滋
村井満(左)、木之本興三 写真/渡辺航滋

(この記事は2015年5月9日に発行された『サッカー批評74』(双葉社)に掲載されたものです)

※この対談は3月24日に行われました。
データならびに個人のインプレッションは3月24日時点のものであることをご了承ください。
インタビュー・文◎六川亨 Toru Rokukawa 
撮影◎渡辺航滋 Koji Watanabe

2014年に第5代Jリーグチェアマンとなった村井満氏とJリーグ創設に尽力した木之本興三氏。
現在のJリーグを語る上で欠かせない両名の対談が実現した。
2ステージ+チャンピオンシップ制への移行など、大きな改革が行われた今シーズン。
これまでの反省、改革に秘められた意図、この先への期待。
両名にしか語れぬ本音は一言たりとも見逃せない。
珠玉の対談、第1回は現在のJリーグについて。

Jリーグと各クラブの不退転の努力

――現在J1からJ3を合わせると52クラブになります。このクラブ数については、いかがお考えでしょう。

木之本 ひょっとしたら村井さんが初めて「あなたのクラブはもうダメです」と言うチェアマンになるかもしれません。例えば、Jリーグで決めたことを大いに逸脱したりなど、それなりの理由はあるのでしょうけどね。今までは護送船団方式で、何とか助けてあげようとやってきた。けれど今度は村井さんがクラブの資格要件を守れないクラブには厳しく適用する。該当するクラブの社長さんやサポーターに大文句を言われるかもしれないけど、経営というのはあくまでJリーグがやるものじゃなくて、クラブが地域の特性を生かし、それぞれの地域で行うべきだと考えています。決して村井さんがそういうことを言う初めてのチェアマンにならないように祈っていますが(笑)。

村井 そうですね。ある種、客観的な基準がクラブライセンス制度によって明文化されていますので、逸脱したらライセンスが発行されないわけです。FIB(第一審機関)というライセンスを発行する機関は厳格ですよ。私もJリーグのチェアマンでありながら判定するFIBの方とは会えませんでした。そのぐらい厳格で、チェアマンは判定に関与できません。理事会やFIB、AB(上訴機関)のメンバーは人選しますが。皆さんはたぶん私がライセンス判定の会議に出ていると思われるでしょう。

――てっきり村井チェアマンに決定権があると思っていました。

村井 決定権はFIBにあって、僕にはないのです。僕の役割は、それぐらい厳しくいくよとクラブ側に伝えて、ネジを巻くこと。これほど判定機関の独立を厳格に運用するということは、チェアマンになって初めて知りました。FIFAが求めるクラブライセンスの本来的なあり方は、独立した判定であり、チェアマンが言ったから助かったとか、「甘くしてよ」と言っていたらすべてが瓦解してしまいます。本当にクラブがライセンス基準を満たせずに経営破綻したら、そこは厳しくせざるを得ないですね。

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