2020年、コロナウイルスの世界的な流行に見舞われたヨーロッパ。
プレミアリーグもセリエAも試合を中止し、リーガエスパニョーラは中断期間の無期限の延期を発表した。
バルセロナもクラブの全活動停止を早々と発表したが、この未曾有の事態が発生する以前から、チームには異変の兆候があったという。
近年、バルセロナが完全にタイトルに見放されているわけではない。だが地元メディアとバルセロニスタ(バルセロナファン)が盛んに論じているのは、「なぜチャンピオンズリーグで優勝できないのか」という点だ。 バルセロナが最後にビッグイヤーを掲げたのは2015年だ。しかしながら、それ以降、欧州王者の称号から遠ざかっている。
いったい、何が起きているのか――。世界屈指の人気チームの光と影を追う。
■グアルディオラの成功とその代償
2008-09シーズン、ジョゼップ・グアルディオラ監督が率いるバルセロナは、リーガエスパニョーラ、コパ・デル・レイ、チャンピオンズリーグで優勝を飾った。だが思い返せば、それは苦しみの始まりでもあった。
トリプレテ(3冠)を達成したペップ・チームは、その勢いでスペイン・スーパーカップ、UEFAスーパーカップ、クラブ・ワールドカップのタイトルを獲得する。セクステテ(6冠)を成し遂げ、まさに前代未聞のチームとなったのだ。
しかし、その成功が足枷になろうとは、誰も予想していなかった。
少し時を遡る。グアルディオラ監督が就任する前年、フランク・ライカールト監督が指揮を執っていたバルセロナは下降線を辿っていた。
ライカールト監督の下で主力を張っていたロナウジーニョやデコのパフォーマンスが落ち、2007年夏にアーセナルから獲得してきたティエリ・アンリは適応に苦労していた。アンドレス・イニエスタ、リオネル・メッシは才能に溢れたカンテラーノだったが、明らかに経験が不足していた。
そのシーズンのリーガエスパニョーラで、優勝したレアル・マドリー、2位ビジャレアルに次いで、バルセロナは3位だった。コパ・デル・レイではバレンシアに敗れて準決勝敗退。チャンピオンズリーグにおいては、ベスト4まで勝ち進んだがマンチェスター・ユナイテッドに屈した。