サッカーというスポーツは、無数のディテール(詳細)と予測不能なドラマであふれている。サッカージャーナリスト・大住良之が重箱の隅をつつくような視点で語る「超マニアックコラム」。1-1の同点のまま、カラバオカップ4回戦の決着は運命のPK戦へ。157億円で移籍してきたアーセナルのブラジル代表MFの前に立ちはだかったのは、下部リーグを渡り歩いてきた33歳の「無名の守護神」だった。【第4回/全4回】
■ 時間稼ぎなど眼中になし! 最後まで勝利を狙った4部クラブの意地
アディショナルタイムは5分。しかしフリートウッド・タウンは「守りきる」ことよりも勝利をつかむことに集中した。
4分が近づいたとき、右サイドをウイングバックのショーン・ルーニーが突破した。しかし「コーナーでボールをキープ」といった姑息な手段など知らないかのように精いっぱいのクロスを送り、結果的に左CKを得る。そして走ってコーナーに向かったキャノンも、「時間かせぎ」など眼中になく、ボールがゴールラインを割ってから30秒もかけずにニアポスト前を狙ってきわどいボールを送った。
後半50分に近づいたとき、アーセナルが最後の攻撃をかける。ウーデゴールが深い位置からスミスを走らせ、スミスがクロス。これをフリートウッドのルーニーがファーサイドではね返したところで、ソールズベリ主審の終了の笛が鳴り響く。時計は後半50分4秒だった。
カラバオカップのこのラウンドでは延長戦は行われず、試合はそのままPK戦となる。PK戦の前にコイントスに向かうキャプテンは、両チームともキックオフ前とは変わっていた。フリートウッド・タウンはキックオフ時にはFWのチェド・エバンズがキャプテンマークを巻いていた。このクラブで唯一「フル代表」のキャリアを持つ34歳のストライカーは、ウェールズ代表13試合の記録を持っていた。このエバンズが後半21分にFWロナン・コフランと交代したことで、アームバンドは30歳のDFルーニーの左腕に巻かれていた。
一方のアーセナルは右サイドバックのオランダ代表DFティンバーがキャプテンとして試合前のコイントスを行ったが、ハーフタイムに交代して本来のキャプテンであるウーデゴールが入ったことで、PK前のコイントスもウーデゴールが務めた。ソールズベリ主審が投げたコインは、1度目はアーセナル・サポーターが入ったスタンド側のゴール使うことを示したが、2度目はルーニーが勝ち、彼は「先攻」を選んだ。



























