■「負けにくいチーム」から「勝ち切れるチーム」へ

 前半は前線からのプレスもハマらなかった。2トップと2シャドーが相手の3バックに寄せきれず、危険な縦パスを刺し込まれてしまった。

 0対1で迎えた後半から、システムを4バックに戻した。50分にはMFアルトゥール・シルバ(31歳)が負傷交代するアクシデントに見舞われるものの、代わって出場したMF小野瀬康介(33歳)が試合の流れを変えていく。

 ボール奪取能力と前方への推進力に優れるシルバに対して、小野瀬は状況に応じて立ち位置を変え、パスを配球しつつ自らゴールへ向かっていくタイプだ。さらに言えば、アルトゥール・シルバ、深澤佑太(26歳)、武田将平(32歳)と3人のボランチが並んでいたそれまでに比べて、ボランチとしてもサイドハーフとしても振る舞える小野瀬が入ったことで、ピッチ上の役割分担が明確になった。

 73分に生まれた同点弾も、起点になったのは小野瀬だった。自陣右サイドでボールを受け、タッチライン際をランニングするDF下口稚葉(28歳)へ縦パスを通す。下口がゴール前へクロスを上げ、MF奥埜博亮(37歳)がヘディングシュートを突き刺したのだった。奥埜は前線に続いての同点弾で、ここまで6試合に途中出場して3ゴールを決めている。そのすべてが、勝点獲得につながっている。J1で337試合に出場してきたMFが、チームを救っている。

 混戦から抜け出すためには、いかに勝ち切るかがポイントになる。湘南は「負けにくいチーム」だが、2位以内を確保するには「勝ち切れるチーム」になっていく必要がある。

 気になるのは攻撃力だ。複数得点を記録した試合が「2」にとどまる。これでは、勝ち切るのは難しい。山田寛人(26歳)と西野太陽(24歳)の2トップで固まりつつあるが、彼らがフィニッシュへ持ち込めるシーンが少ない。富山戦では山田がシュート0に終わった。

 次節からはいわきFC、栃木シティとのホーム連戦だ。負傷交代したアルトゥール・シルバの状態が気になるものの、白星を並べたいところだ。

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