■ 親善試合はただの強化試合か? 「王様」ペレ来日戦パンフレットが教える真の価値

 私自身は、サッカーという競技において、親善試合には大きな意義があると考えている。サッカーは世界の多くの国で「国民的スポーツ」であり、その代表チーム同士の交流は、最も有効な「民間外交」になりうると思うからだ。

 親善試合は単なる「代表強化のための試合」ではない。例えば、この秋、日本代表がウルグアイ、ベネズエラ、エクアドル、ニュージーランドといった国々と対戦するに当たって、サッカーファンはどんな知識を持っていただろうか。相手チームのスター選手の横顔だけでなく、どのような歴史や文化を持った国で、日本との間にこれまでどんな交流があったのか。そうしたことに目を向けてもらうことで、本物の「国際親善」が生まれると、私は本気で信じている。

 手元に1972年5月26日に東京・国立競技場で日本代表がブラジルのサントスFCと対戦した時のプログラムがある。もちろん、「サッカーの王様」ペレが日本のファンの前に初めてそのプレーを見せた「伝説の試合」である。

「国際交歓サッカー」と銘打たれているのも好ましいが、A4判中とじ、表紙を含めて36ページのパンフレットには、ペレやサントスFCの紹介はもちろん、駐日ブラジル大使からのメッセージ、「知っておきたいポルトガル語のサッカー用語」「ポルトガル語ミニ会話」「壮大なコントラストの国ブラジル」「南米旅行の楽しさ」などの記事が掲載されているのである。この当時の日本サッカー協会(当時の正式名称は「日本蹴球協会」で、まだ法人化されておらず、任意団体だった)の「親善試合」に寄せる思いがよく表れているではないか。

 だが現在では、日本サッカー協会がスポンサー名をつけて親善試合を開催するためか、NHKは「強化試合、強化試合」と連呼する。他のメディアも、ウルグアイとの試合を単なる「森保ジャパン再スタートの大会」としかとらえず、選手選考や各選手の「アピール成功度」にばかり注目し、「国同士の親善を深める試合」であることになど目を向けない。本当にもったいない話ではないか。

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