■“女子版・佐野海舟”が中盤を制圧! アジア3連覇の裏にあった初招集「広島組」の最適解

 そもそも、北朝鮮は日本のようにあまりターンオーバーを使わず、ほとんど同じメンバーで戦ってきていた。そのうえ、決勝戦で日本代表が81分までに5人を交代させ、さらに延長に入って1人を交代させたのに対して、北朝鮮は5人の交代にとどまった。しかも、そのうち2人(うち1人はPK戦用のGK)は延長戦終了間際での交代だった。

 そんな状態でも、北朝鮮の運動量とパワーは日本を上回り続けたのだ。

 日本はそれでも前半32分に先制に成功する。右サイドのスローインからパスをつないで左に展開。左からのクロスのこぼれ球を上野真実が正面から決めた。

 その後、後半に入って北朝鮮に逆転を許して敗色濃厚に見えたが、残り時間も少なくなった86分に起死回生の同点ゴール。ゴール前でワンタッチパスをつないで、最後は西尾葉音が決めた。

 アジア大会を通じて5試合で7得点を決めた神谷千菜が注目を集めたが、決勝戦で目を引いたのはボランチの柳瀬楓菜だった。まるで男子代表の佐野海舟のように中盤で相手のパスをカットしたり、プレスをかけたりと広範囲をカバー。攻撃にも参加して見せた。

 ちなみに神谷も柳瀬も日本代表初招集であり、そして神谷も柳瀬もサンフレッチェ広島レジーナ所属だった。決勝戦はこの2人に加えて上野、中嶋淑乃と広島所属の選手4人が先発出場した(同じ広島所属で北朝鮮代表の李誠雅=リ・ソンアは出場機会は与えられなかったが……)。

 男子とは逆に押し込まれて2失点してしまった中でも冷静さを保った組織的守備と回数は少なかったもののきれいにパスを回して2ゴールを生み出した「なでしこジャパン」。アジア大会ではこれで3連覇を成し遂げた。

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